ホーム お知らせ 吉沢庄作(よしざわしょうさく 1872-1956) マルチな才能を発揮した博物学者・教育者・岳人・俳人 吉沢庄作(よしざわしょうさく 1872-1956) マルチな才能を発揮した博物学者・教育者・岳人・俳人 2009年2月4日更新 このページを印刷する シェア ツイート ■剱岳さわたる我と秋の雲 秋涼んだ空気の中、ひとり静かに歩みをすすめる男。この俳句を詠んだのは、ホトトギス派の俳人、吉沢庄作さんです。自然をありのままに受けいれ、表現することを目指したホトトギス派の作品は、幼い頃から自然への探求心にあふれていた庄作さんの心に沿うものでした。 庄作さんが俳句を詠むときに使う名前―俳号―は「無外」。これは、「我より外に無し」という意味です。自我を強烈に表明する一方で、「自然」と「我」というものを対比するような俳号です。 老いらくの壮士なおあり秋の岳 これもまた、庄作さんが60歳で剱岳に登ったときに詠んだ句です。普通なら「老いらく」というのはどちらかというと否定的に、もの悲しく使われる言葉ですが、この句では老いていくことを悲しんではいません。むしろ、あるがままに自然な形で老いていく自分の姿を誇らしく描き出しています。折にふれ、こうした名句を詠むことから、地元でも有名な俳人であり、有能かつ熱心な指導者でした。俳人として活躍する一方、庄作さんには別の顔もありました。 【剱岳小窓にて 吉沢庄作と山案内人 佐々木助七】 ■博物学者として 私たちの身の回りには、動物、植物、鉱物といった「ブツ」のつくものが無数に存在しています。これらを正確に記録保存し、分類していくのが博物学(※1)という学問です。庄作さんは、魚津中学校(現在の魚津高等学校)で博物学を教えながら、年中無休で野山を駆け回ってそれらを採集していました。「ブツ」に対する愛情あふれる授業を行う庄作さんのことを、生徒たちは親しみを込めて「ブツ」先生と呼ぶのでした。 長い年月をかけて集められた植物標本は約1,700点にもおよび、県内最古のコレクションです。これらは、庄作さんが亡くなった後に、植物生態学者の長井真隆さんに託されました。 長井真隆さんも同じく教員として勤めながら植物などをコレクションしていた研究者です。のちに長井さんの採集した標本も加えて「長井真隆・吉沢庄作コレクション」(約4,500点)とし、富山県民に広く親しまれ、次の世代に伝えていくべき遺産として、富山市科学博物館に収蔵されました。 庄作さんの調査した結果は、文章としても著され、新聞や雑誌で紹介されました。庄作さんの文章には、資料の調査だけでなく、自らの足で山野を歩き回って調査し、裏付けているという特徴がありました。庄作さんの文章には、見た人にしか表現できないリアリティがあり、読む人の心をひきつけたのです。また、庄作さんの博物学研究は、山との出会いによってさらに大きく広がりました。 【庄作さんが大蓮華山で採集してきた標本 タカネナデシコ・ツクモグサ・チャボヤハズトウヒレン】 ※1 博物学 自然に存在するものについて研究する学問。東洋では「本草学」と呼ばれていました。自然物を採集し、調べて記録し、分類するのが博物学の基本です。19世紀後半以降、様々な学問へと細かく分かれていったため、現在、博物学は学問分野としては残っていません。 (続きを読む・・・) 最新のお知らせ 【2/28(金)~3/2(日)】インターネット相談窓口等の受付停止のお知らせ 4/13(日)マイナンバーカードの休日窓口を開設します KOKOくろべで「健活」&「クラフト体験」 大雪に関する情報はこちらから(令和7年2月17日更新) 防災まちづくり講演会を開催します! 令和6年度黒部市高齢・障がい福祉施設等物価高騰対策支援金について 宇奈月温泉スキー場からの大雪に関するお知らせ 第7回マイプロジェクト発表会を開催します! 【2/21(金)】 お知らせ一覧へ