ホーム イベント 黒部市歴史民俗資料館 令和2 年度春の常設展 みどころ2「黒部の考古学の先人 佐度忠作」の展示紹介 黒部市歴史民俗資料館 令和2 年度春の常設展 みどころ2「黒部の考古学の先人 佐度忠作」の展示紹介 2020年5月23日更新 このページを印刷する シェア ツイート ☆歴史民俗資料館の展示のご案内はこちらです ⇒ 歴史民俗資料館 展示のご案内☆うなづき友学館のページはこちらからです ⇒ https://www.city.kurobe.toyama.jp/contents/yuugakukan/☆春の常設展 ⇒黒部市歴史民俗資料館 春の常設展+みどころ「高峰譲吉・山田胖 100年前の書簡に学ぶ」のご案内 黒部市歴史民俗資料館 令和2 年度春の常設展 みどころ2「黒部の考古学の先人 佐度忠作」の展示紹介 1はじめに 佐度忠作は、いまから110 年前の明治43 年に黒部に生まれました。小学校教師として働く傍ら、黒部川流域の遺跡調査を精力的に行い、考古学の調査研究に生涯を捧げました。本展示では佐度忠作の遺した業績や収集した出土品の概要を紹介します。 佐度はたくさんの遺跡を発見するとともに、多くの人々に考古学の魅力を伝え、新川地域だけでなく富山県の考古学発展に大きく関わってきました。 平成4年1月にご遺族から寄贈された土器・石器などの考古資料や調査日誌は、新川地域をはじめ、県内の歴史・文化を伝える非常に貴重な資料であり、綿密な分析・整理がなされています。これらの資料を通して佐度忠作が注いだ考古学への情熱とその仕事を理解する一助となれば幸いです。 1.考古学への目覚め 佐度は、明治43 年3 月に下新川郡石田村堀切(現 黒部市石田)で生まれ、昭和5 年に富山県の教員養成所を卒業後、小学校教師となりました。昭和10 年に黒部市の田家尋常小学校(現在のたかせ小学校)へ着任した時、学校に隣接する八幡社は児童・生徒の遊びの場となっていました。佐度はこの境内から何個かの縄文時代の土器・石器を発見し、考古学に関心を持つようになりました。それ以来、土器・石器への探求が始まり、周辺をくまなく調査しています。そして、富山県を代表する考古学者の早川荘作(下新川郡前沢村/ 現 黒部市前沢生)のもとを訪れ、手ほどきを受けながら周辺の踏査を続けました。これが、佐度の考古学研究への大きな足がかりとなりました。 佐度は早川の指導を受け、昭和10 年から40 年までの30 年間に黒部川流域の遺跡調査を精力的に行うとともにたくさんの遺跡を発見しました。また、昭和13 年、14 年の2 年間で計84 回も富山県内各地の遺跡を訪ね歩くなど、精力的に遺跡の踏査を続けました。 東尾崎遺跡の発掘調査( 昭和40 年3 月) 桜峠遺跡にて調査時( 昭和35 年8 月)前列右1 番目が佐度忠作 2.県内各地の遺跡を訪ねて 佐度は県下各地の86 箇所の遺跡を踏査しています。そのなかでも、田家遺跡についての研究は力を入れていました。この遺跡は佐度が考古学に関心を持った最初の場所でした。そして、それから土器・石器の探求が始まった記念すべき遺跡の場所でもありました。長い間の田家遺跡の調査から、台地の上にあたる場所は縄文時代の後期・中期の遺跡であり、台地の下の低地は縄文時代の後期・晩期の土器が出土していることを発見しました。そのことから台地上に住居を構えていたと考えていました。また、縄文晩期の土器には東北地方でみられる亀ヶ岡式土器があることを発見し、その文化を受け入れる素地があったとも考えていました。土器や石器の観察から3000 年前すでに物の交流があったことを推測していました。 このように、ただ土器や石器を集めるだけでなく、注意深く観察して比較することにより、いつの時代の物か、どの地方との結びつきが強いのかを考えていました。 生涯で踏査した主な遺跡( 富山県内) 3.『宇奈月町の石器と土器』 の出版 黒部市宇奈月町には県内でも富山市北代、魚津市天神山遺跡に次ぐ有名な愛本新遺跡をはじめ数か所の遺跡がありました。佐度が宇奈月地区において最初に踏査したのは、昭和11 年11 月の愛本遺跡、昭和13 年の浦山、内山、下立地区の遺跡でした。その後は、戦争による中断をはさんで、本格的に再開したのは昭和23 年から25 年までの間でした。その後も宇奈月地区の遺跡の研究を重ねましたが、愛本遺跡の土器を究明中に逝去されました。 その後佐度の意志を継いで調査研究を単行本として出版しようという機運が高まり、昭和42 年7月に『宇奈月町の石器と土器』が発刊されました。この本は地元の仲間や研究者とともに歩んだ交流の中から生まれてきた本でした。 内容は、はじめに遺跡の概要について述べ、つづいて無土器時代の遺跡、縄文時代の遺跡、弥生時代の遺跡、古墳時代の概要と続き、全体を表でわかりやすく表現しています。つぎに、内山遺跡、桃原遺跡、下立遺跡、愛本新遺跡、風野遺跡、黒部中学校校庭遺跡を個別に紹介しています。遺跡の位置、土器、土製品、石器の順に出土遺物を紹介し、最後に考察をしています。土器や石器の特徴を図で数多く表現して紹介しているため、今でもその価値は高く、佐度の縄文土器研究の総まとめとなっています。 『宇奈月町の石器と土器』の元となった原稿 4.佐度コレクション 佐度が集めた土器や石器は、平成4 年1 月にご遺族から黒部市へ寄附され、佐度コレクションとして大切に保管されています。佐度は採集した数千点の土器や石器一点一点に出土した年月日と地名を書き加えて、地区ごとに箱に入れて保管をしていました。 土製品には縄文土器、釣手土器、有孔鍔付土器、有孔球状土製品、土製耳飾り、土偶、石製品には打製石斧、磨製石斧、礫石錘、石皿、磨り石、石冠、独鈷石、石棒、ペンダントなど、数千点の資料があります。また詳しい踏査日誌から、いつどこへ調査に行ったかがわかります。 「佐度コレクション」の一部 5.記録するということ 佐度忠作の研究には、いくつものすぐれた特徴があります。出土した場所を、細かく日誌として記録していたことや、出土品に場所と年月日を記録していることです。他の人に渡ったり、箱から遺物を出し入れしたりすると、元はどこの場所にあったのかがわからなくなるという問題がありましたが、この保存方法だと、いつだれが見ても、出土地点と出土年月日を知ることができるのです。現在では定着した方法ですが、考古学研究の始まったばかりの富山県で、佐度のように記録をきちんと残している人は少なかったようです。 佐度が計測した土器の実測図 6.黒部川扇状地での研究 『宇奈月町史』や『黒部市誌』の縄文時代に関する記述は、佐度の研究成果をもとに書かれました。佐度は、遺跡が存在する場所だけでなく、他の遺跡との関係など広い目で見て初めてその性格がわかると考えて、黒部川扇状地の遺跡の関係性を含めて詳しく研究しました。その際、遺跡から発見された土器や石器、建物跡を記録し出土地点を地図に書き入れ、出土品や遺跡の立地環境の特徴から、その時代背景を解析しようとしました。 おわりに 佐渡忠作の考古学に対する熱意はとても強く、「佐度コレクション」やその生涯の足跡をみることでその熱意は十分にわかります。この佐度忠作の考古学における熱意と業績が、見る方々に地域の埋蔵文化財への関心をより深めさせてくれることを願って止みません。( 平成 22 年度企画展、及び佐度忠作著作集解説から作成 ) イベント情報詳細 開催期間:2020年5月16日(土曜日)から7月31日(金曜日)まで 開催時間:午前9時から午後6時まで開催場所:黒部市歴史民俗資料館(うなづき友学館)費用:入館料:一般300円(中学生以下無料)対象:児童~一般 「伝統・文化・芸術・教養・科学」のイベント おしごと いろいろ なんになる?」 \\つどう・まなぶ・むすぶ//令和5年度「公民館まつり」について 第18回黒部市芸術祭 黒部市美術展の開催及び作品募集について 黒部市美術館「キュンチョメ 魂の色は青」 黒部シアター2023 秋『トロイアの女』 黒部市歴史民俗資料館 特別展講演会「プロジェクトXにみる挑戦者たちの思い」のご案内 【10/1(日)】最後の秘境からやって来た若き音楽家たちVol.4 黒部市歴史民俗資料館 第19回特別展「宇奈月温泉とともに歩んだ人々」のご案内 イベントカレンダーへ お問い合わせ 教育委員会 生涯学習文化課 〒938-8555 黒部市三日市1301番地 電話番号:0765-54-2764 FAX番号:0765-54-2702 このページの担当へ問い合わせを送る